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「この国を守る」と西日本の豪雨災害。

 自民党のポスターに安倍晋三首相の写真を背景に「この国を守る」と書いている。この国とは何を指しているのか、守られる対象は何なのか?何からどういう手段で守るというのか?
 昨年の衆議院選挙で安倍首相は「国難」という言葉を使用した。主に北朝鮮の核実験・ミサイル発射実験、中国の軍事的脅威などを背景にしていた。米朝会談まではJアラートによる北朝鮮を念頭に全国で避難訓練などもした。これらからすると「この国を守る」とは北朝鮮や中国の軍事的脅威から自衛隊の軍事力でこの国を守るという事と思える。守られる対象に国民が入るのか?それは全ての国民なのかどうなのかは疑問が残る。
 2018年7月初旬の西日本の豪雨災害で死者・行方不明者が7月10日現在200名になろうとしている。平成最大の死者不明者の豪雨災害と報じてられている。「この国に住む200人の命を守れなかった」豪雨災害が今も続いている。
 直截に言いたい。この国を守るというスローガンに「豪雨災害から国民の命を守る」はどうやら含まれていないように感じられる。
 豪雨にしろ台風にしろ地震にしろこの国では毎年自然災害は必ず起きているし被害の大小はあれ、幾人もの死者が毎年出ているのだ。果たして国民にとって備えるべきは周辺諸国の日本への侵略が最優先なのかと私は問いたいのだ。率直に言えばJアラートの避難訓練よりも自然災害への避難訓練が先だろうと私は言いたいのだ。安倍首相の頭の中に守るべき対象に「国民の命」が本当に入っているのだろうか?と私は疑問に思っているという事なのだ。
 自然災害から国民を守る事と周辺諸国からの侵略からこの国を守るのとでは「次元が違う、同じ秤には掛けられない」というかもしれない。しかし一人ひとりの命の大事さからしたら次元は違わないと私は思う。よりはっきり言えば毎年必ず起きる自然災害から国民を守る事の方がはるかに現実的で大事な事ではないだろうか。
 安倍首相に言いたい。やるべき順序が違う。戦争に備えるよりも自然災害に備えるほうが優先課題であり、より重要課題ではないのかと私は言いたいのだ。