投稿者の感想掲載、「BS1スペシャル・隠された日本兵のトラウマ・陸軍病院8002人の病床日誌」。

 

◎BS1スペシャル◎隠された日本兵のトラウマ~陸軍病院8002人の「病床日誌」~

 

を観て

 

 

 

大門健一

 

 

 

 この8002人という数字は、日中戦争から太平洋戦争と続く8年間に、千葉県の国府台陸軍病院に送られてきた精神を病んだ兵士の数。しかし、日本軍と政府は日本軍には1人も精神を病んだ者がいないと内外に公言してきたが故に、すべては秘密裡に進められたし、「病床日誌」というカルテもすべて闇の中に葬り去られようとしていたのである。したがって、家族もまた今回初めて見たのであり、多くの人も今回初めて真相を知った。

 

 冒頭のナレーションで「戦争は人を壊す」という言葉が流れる。「戦争は人間の殺し合いだ」ということは知っていても、この記録を観て「戦争は人を壊す」ということを初めて実感した人が多いと思う。私もそのひとりだ。

 

 記録は日中戦争時には、中国の北支から病院に送られて来た兵士が多い。それは、北支の広大な占領統治区を少ない軍隊で守らされ、長大な輸送路を守ることを強制された結果、狙い撃ちにさらされ、無差別攻撃を受けるという緊張と恐怖が兵士にストレスやトラウマを与え、精神をむしばんでいったのである。さらに上官による暴力がそれに拍車をかけ、「誰のために、何のために戦っているかわからなくなり、精神的な病気を深く進行させたのである。そのため、眠っている時に幻視、幻聴に襲われ、さらに悪感に襲われる。全身がけいれんし、まさに映像は「人間が壊れていく姿」を写し出していく。日中戦争の初めには600人であった数が年々増え、ついには1000人を超す。

 

 太平洋戦争が始まると、病院に送られて来る兵士は、ニューギニアなどの南方方面の兵士が多くなる。ひとつは艦砲射撃や空襲による恐怖が原因であり、ひとつはマラリアによって脳がやられ、神経障がいを引き起こす。また「上官によって人を殺すことを命令され、その中には自分の娘や子どもの年頃の者もいたという。こうした場面に直面した者は、だれでも精神を病んだという。自責の念も発病する大きな要因だということがわかる。

 

 さらに、夜通しの行軍、それに対する襲撃は疲労、不安、恐怖も合わさって精神を病む兵士は一挙に増大する。しかし、南方から送り返された兵士は、ごく一部で圧倒的多数は戦場に見捨てられ、殺されたという。ニューギニア島から病院に連れてこられたのは58人で、20万人のうち18万人が戦場で、なんらかの形で生命を落としたことをみればそれは明白である。悲惨という他はない。

 

 また、病人ではないが多くの兵士が「自分だけが生き延びた」ことで自分をせめ続けているという記録が報告されている。これも特に日本軍の中に他国より例が多いらしい。

 

 また、1944年~45年に向かって戦局が悪化すると政府と軍部は数合わせのために、内密で障がい者を戦場に送ったという記録も残っているという。日本軍の悪質な戦争政策はここにも凝縮している。

 

 戦争の恐怖のために、年少兵に自殺した兵士が多かったという記録もある。これも病気の重要な一部である。自殺が下級兵士に多いのは、上官の暴力をはじめとして、多くの矛盾と圧力が下級兵士に集中したことの証明。理由もない私的制裁というのは日本軍特有の体質であり、病人を増やした一因であることがわかる。

 

 精神を病んだ兵士に対しては眠ること以外に薬はなく、なんの科学的根拠のない電気治療は、苦痛を強制するだけだったらしい。太平洋戦争の後半には送られて来る病人は3倍になったが収容する施設はなく治療というより、国民から隠すことが目的化された。

 

 そのため病気になった兵士は戦後も故郷にも家族のもとにも帰れば、就職もできず、施設も介護もシステムもなにまま、せいぜい国立療養所に入れられ、生活保護もなく貧困のまま投げ出され、差別を受け続けた。

 

 まさに「戦争は人間を壊す」のである。このフィルムがなければ、多くの事実は闇の中に消えていただろう。

 

 

2018.12.8  高橋さん

 

今ほど、録画しておいた「隠された日本兵のトラウマ」観終わりました。

 

感想・・・・難しいね~~~

 

知られたくない事・嫌な事は、隠すという・・・この国の最も失くさなければならない体質を抉り出している特集ですね。

 

番組中に1966年NHKが放映した「空白の戦後」という番組があるにも関わらず、一部の人たちしかこの事実に向き合って来なかった事。また国府台病院の院長が戦後まとめた「論文」以外、50年間隠せと言う事(これはある意味分からなくもない事情はあるが)など、事実究明を怠る日本人的精神は、替えて行かなくてはならないと思います。

 

戦争による精神疾患については、中国侵略の歴史の調査などで興味持っていましたが、2008年8月31日放映のBSハイビジョン「兵士たちの悪夢」(第一次大戦からベトナム戦争、イラク戦争に至る欧米の戦争によるPTSDのドキュメンタリー)を更に、見直しました。

 

アメリカでは、ベトナム戦争後帰還兵のこの問題から、兵士教育の内容を一新するなど現代の戦争(特にゲリラ戦)に対応する努力?をしていますが、日本の自衛隊はどうでしょう。

 

日本でもイラク戦争に参加した帰還隊員に自殺者やPTSDがあることが指摘されていますが、日本が向き合って来なかったこの問題は、きちんとした検証が必要でしょう。

 

感想と言っても、こんな程度ですが、貴方の取り組みに期待します。

 

「兵士たちの悪夢」を録画したDVD、近日中に送ります。参考にして下さい。

 

髙橋

 

 

 藤井直さん

 

『 隠された日本兵のトラウマ 』 を見て軍隊の恐ろしさ思いました。 それは暴力そのもので 権力の罪を

 

感じました。 私の父も37歳 赤紙一枚で戦場へ送られ 様々な苦しみの中で 海に沈んでいきました。戦争は

 

人々の生活を奪い 心を奪い 命まで奪いました。 そこに正義は全くありません・・。 もし軍隊へ行かなければ

 

平穏な人生を送ったであろう人々を思うと 戦争を起こした国の犯罪に怒りを感じますね。

 

 

 

今もアメリカの基地を沖縄に また原発被害の処理を福島に押しつけている政府のやり方を見る時 80年前と全く

 

変わっていないと思います。国家の罪ですね。 社会の陰で家族とも共に暮らせず 病院で人生を終えていった人々。

 

何の為の人生だったか 同情を禁じ得ません。

 

 

 

NHKスペシャルの中で 初年兵が入隊した日から 殴られ通しで ただ怯えの毎日の中で精神疾患となり 戦後も

 

故郷に帰れず 孤独に亡くなっていった人々。 8002名の病床日誌が今 社会の明るみに出て 

 

『繰り返してはいけない』と思う人々が 増えていくことが 戦争を防ぐ力になってくれると思います。

 

 

 

数は少なくとも 精神障害兵士に寄り添い PTSDの苦しみを明らかにしていく人々がいたことを

 

知り 有り難く思いました。 黒井さんもその一人です。 頑張って下さい !  

2018.12.4 藤井 正直

 

2018.11.27MMさん

 

戦場での兵士の被害というと犠牲になった方、また大けがをして傷痍軍人になられた方の話はよく聞きますが、

 

精神を破壊されたり深い心の傷を抱えたまま、その後何十年もの日々を病院で送って二度とそこから出てこられなかった人たちがいたこと、そのすさまじさに言葉もありませんでした。

 

とくに侵略戦争を行った中国での戦争帰還兵にそのようなPTSDが多く見られたことは、何を意味するのか

 

考えずにはいられませんでした。

 

 

 

また、知的障がいを持った人たちまでもが戦場に送られ、集団行動ができないといって酷い目に遭わされ、

 

傷病兵となって帰還したあとは軍人恩給ももらえなかったという話には、ただただ怒りが湧いてきます。

 

 

 

解説をしていた研究者たちが、強い言葉で怒りをあらわにしていたのが印象に残りました。

 

 

 

PTSDを負う兵士はどんな戦争にも必ずいます。

 

殺人マシーンになれというほうが無理な話で

まっとうな精神の持ち主は加害者、被害者、どちらになるにせよ人知れず苦しむことになるのでしょう。

 

本人のみならず家族や社会にも大きな弊害を与えます。

 

これから先、日本が戦争も辞さない国になるというなら

 

そういった兵士たちを私たちの社会が抱えていく覚悟があるのかと問いたい。

 

 

 

ペンネーム MM

 

 

  

柳 道彦さん 201811.30

 

  見ましたよ。重いテーマでした。戦争と言う国家や組織が市民の命を勝手にやり取りする強制行為が

 

  大きな不幸を生む事が今更のように浮き彫りにされました。過去(の事実)から目を背けることなく

 

  学ばなければなりません。教科書作成に携わる専門家の中には歴史から学ぶことは無いと傲慢にも

 

言い切っていました。

 

 

 

  またこのように膨大な資料を守り、後世に伝えようとした人の存在は大きい。

 

  振り子を反対の振る勢力がある中で、それでも人の世は少しずつ良くなって行く事の証かも知れません。

 

 

 

 柳 道彦

 

 

佐藤正兵さん

 

1125NHKS1で放映された「隠された日本兵のトラウマ~陸軍病

 

8002人の“病床日誌”~」を録画しながら見ました。

 

その前日の24日、江戸川区で「中国・万人坑を考える講演会@江戸川」として

 

青木茂さんをお呼びし「中国人強制連行・強制労働と万人坑(人捨て場)

 

という講演を聞いた直後でした。

 

中国に侵略した日本軍が、何の罪もない中国人を、無差別に殺害していました。

 

軍の命令でそれを実行させられた兵士たちは、精神に異常をきたさないのがむしろ不

 

思議な状況だったと思われます。

 

精神障害兵士たちが送られた国府台陸軍病院では、引き取る家族もなく、

 

軍人恩給も受けられないという現実がありました。

 

本来なら最も手厚く保護されるべきなのに、・・・これは個人の人権が尊重されない日本の

 

特殊な状況では・・・という研究者の言葉が印象的でした。

 

戦後の「平和日本」は、中国や朝鮮・アジアへの侵略加害を謝罪せず、都合よく忘れています。

 

そこに帰ってきた帰還兵は、自らの居場所を失いました。

 

日本軍国主義・総動員体制の下で、侵略戦争に加担し、加担させられた兵士たちの

 

無念の思いを、共有することが必要だと思います。

2018.12.3佐藤正兵